施工例市立吹田サッカー
スタジアム
商品名<屋根> ヨドルーフ166ハゼ/ヨドルーフ150/
ヨドルーフ66/ヨド角波サイディング800N
インパクトある屋根デザインを金属製外装材で実現
2015年9月、Jリーグ・ガンバ大阪の新本拠地として万博記念公園内に完成した「市立吹田サッカースタジアム」。
FIFA(国際サッカー連盟)の国際規格を満たす西日本最大規模のサッカー専用スタジアムで、ひと際目を引くのが立体的な構造の屋根です。この屋根に、当社の金属製外装材(屋根材・壁材)が採用されています。建物のコンセプトから商品の採用理由まで、設計担当の竹中工務店様に話を伺いました。
合理的な設計で建設費を抑えた「エコ・コンパクトスタジアム」
株式会社 竹中工務店 大阪本店
設計部 設計第4部門
設計グループ 副部長
浜谷 朋之(はまや ともゆき)様
市立吹田サッカースタジアムは、建設費が企業や個人サポーターからの募金やスポーツ振興事業関連の助成金によって賄われる"みんなの寄付金でつくるスタジアム"として計画当初から注目されていました。多くの方々の想いが詰まった貴重な建設資金をできる限り有効活用するために、「エコ・コンパクトスタジアム」を設計コンセプトに掲げ、無駄のないシンプルかつ合理的な建物として計画。同時に、スタジアムに求められる安全性と観戦環境の快適性を高いレベルで備えることを目指しました。
なかでも設計のカギとなったのが、4万人収容可能な観客席をすっぽりと覆う、約23,000㎡の大型屋根です。この屋根に、「3Dトラス構造※1」と名付けた当社独自の屋根架構技術を採用することで、使用する鉄骨部材を小さくすることが可能になり軽量化が図れました。また、大規模スタジアムとしては国内初となる「屋根免震構造※2」を導入することで、地震時に屋根の揺れを減らして屋根や設備機器などの落下を防ぐ安全性も確保しています。
これら2つの技術により、屋根に使用する鉄骨量を従来の構造より約4割削減することができました。また、高品質でコストパフォーマンスに優れたヨドコウさんの金属製外装材を採用したことで、トータル的な建設コストの削減と美しい外観を実現することができました。
3Dトラス構造 ※1
鉄骨のトラス梁を縦・横・斜めの3方向に架けて、屋根部分を支える構造。柱間の距離を従来の構造の約半分に低減できるため、屋根に使用する鉄骨部材を小さくし、軽量化が図れる。
屋根免震構造 ※2
屋根と建物本体との間に免震装置を設けることで地震時に屋根の揺れを低減する構造。(株)竹中工務店様 特許出願済。
屋根の立体的なデザインを金属製外装材で表現
屋根の外観は、独自の構造を生かした立体的なデザインで、選手が"円陣"を組む様子を表現しています。上空から見ると、四隅にある<コーナー屋根>は、折り目のついた一枚の板のような形状をしています。形状の連続性を強調するために、屋根材の流れ方向をそろえるデザインとし、雨水の流れを考えて四角形の部分のみ中央が緩やかに盛り上がった曲面としました。外装材の選定では、このような複雑な意匠を忠実に再現できる成型性・施工性をはじめ、コスト・耐久性など総合的な品質の高さを評価し、ヨドコウさんの金属製外装材を採用しました。部位ごとに4種の屋根材・壁材を使い分けています。
屋根面積の大半を占める<コーナー屋根>には、コストメリットの高いヨドルーフ166ハゼを採用。曲面屋根部分では、屋根材の加工と仕上げに苦労されていましたが、卓越した技術力と商品力で我々が目指すデザインを見事に形にされました。<覆い壁>は、スタジアムの外観で見えやすい位置にあるため、約1年間、試作品で暴露試験を実施しました。その結果、雨水の滞留しにくさと、斜め貼りした際の意匠性を兼ね備えた、山高が低めのヨドルーフ66を採用しました。
屋根材のカラーは、周辺環境へ配慮して、光沢を抑えたシルバー(両面/特注色)を採用。季節や時間による日光の当たり具合で屋根材の陰影が変化し、スタジアム全体に豊かな表情と躍動感を演出してくれると施主様にも好評です。
本スタジアムは今後、ガンバ大阪様の運営・管理のもと地域や企業の交流拠点としても広く活用される予定です。また2020年の東京五輪では、サッカー会場の候補地の一つにもなっています。同じく万博記念公園内に誕生したエキスポシティと共に、関西を盛り上げる施設となることを願っています。
緻密な現場調整で難工事を
クリア
インパクトのある屋根のデザインを金属製外装材で実現するためには、高度な成型・加工技術と施工の緻密さが求められ、大変難易度の高い工事となりました。特に苦労したのは<コーナー屋根>部分です。まず、屋根の流れ方向が従来とは異なる横方向にラインが走るようデザインされていることに驚きました。施工では、直線の屋根材(三角形の部分)と、緩いアーチを描く屋根材(四角形の部分)のラインが、あたかも、つながっているように仕上げる必要がありました。
また成型・加工では、屋根を真上から見た際に、緩いアーチを描く屋根材(四角形の部分)のラインが直線に見えるような形状にする必要がありました。現場でのロール成形時にはロールの位置を微調整しながら曲げ加工に工夫を凝らしました。結果、インパクトのある外観演出に貢献でき、当社の成型技術レベルの高さと、様々なデザインに対応できる金属製外装材の魅力を証明できたと思います。
今後も、意匠性の高いあらゆる物件に金属製外装材でお応えできるよう、現場の技術力を高めると同時に、建材メーカーとして高機能・高性能な商品づくりに努めて参ります。
*所属・役職等は取材当時のものです。
市立吹田サッカースタジアム
物件名 | 市立吹田サッカースタジアム |
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所在地 | 大阪府吹田市千里万博公園3番3号(万博記念公園内) |
敷地面積 | 90,065.33㎡(約27,293坪) |
延床面積 | 63,908.71㎡(約19,366坪) |
発注者 | スタジアム建設募金団体 様 |
設計・施工 | 株式会社竹中工務店 様 |
施工期間 | 2013年12月~2015年9月 |
仕様 |
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