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(第8話)構造に見え隠れするライトの表現テーマ!


迎賓館を東側から見た全景パース(上)と断面図(下)

イメージが広がる構造上の特徴や工夫
今回から視点を変えて、ヨドコウ迎賓館の構造上の特徴や、ライト独自の意匠を支える構造的な工夫をクローズアップ。どんな意図で?なぜここに?といった疑問や謎を解明していきたいと思います。まずは、建物全体の基本構造から見てみましょう。

自然の地形と融合した4階建て
ヨドコウ迎賓館は、小高い丘の上に建っています。緩やかな南斜面になっていますが、西側はかなり急な崖で、宅地としてはあまりよい条件とは言えません。ところがライトは、むしろ積極的に設計を引き受けたとか。いったいどういう理由なのでしょうか。

謎を解く鍵は、敷地の高低差にあります。この建物は、最も低い南端に玄関を設け、斜面に沿って北へ、すなわち水平方向へと階段状にフロアが配置されています。垂直方向に階が重ねられていないので、全体としては4階建てでありながら、立面で考えるとすべての棟が1階または2階建ての様相になっているのです。
そのため3階や4階に居ても、地面から遠く離れている感じがせず、自然の地形を活かした構造になっているのがわかります。ライトにとっては、「土地と建物の一体化」という建築思想を表現できる理想のロケーションだったといえます。

芦屋川沿いから見た迎賓館(西側)
芦屋市内を一望できる玄関

鉄筋の日本建築といった趣きが・・・
これまでの号でもご紹介しましたが、ヨドコウ迎賓館には日本の伝統的建築を連想させる手法や素材が随所に秘められています。なかでも外部の自然を巧みに取り込んだ空間構成など、趣向性に富み、見る側の審美眼が必要とされることから、数寄屋(すきや)造り(自然と調和させる茶室風の建築)の趣きを持っているという指摘もあります。
極端に言えば、鉄筋コンクリート造の技術を用いて、日本の伝統的建築を表現しているかのようにも思えてくるのです。こうしたイメージが膨らむのも、機能主義とは対極にある自然を取り入れるライト建築ならではの面白さではないでしょうか。


こ ぼ れ 話
「ここにも日本建築を連想させるものが・・・」
ヨドコウ迎賓館に秘められた「日本の伝統的建築」を連想させる手法の中で、審美眼が必要とされる代表的箇所と言えば、玄関車寄せの南側ベランダです。周囲の壁や柱を額縁に見立てると、眼前の景色がまるで絵画のように鑑賞できます。
また、構造的な視点で連想させるのが館内の通路です。複雑に入り組んでいて、来客用と身内用の2系統あるのではと思わせるほど。これは書院造りに見られる表廊下と内廊下の二重の動線がモチーフになっているとも言われます。
まだ他にもあるはずです。想像力を働かせながら、あなた独自の発見を楽しんでみませんか。

2階から3階に
通じる内廊下


※本稿はヨドコウ迎賓館の保存修復を監理されている(財)建築研究会の平田文孝先生のご教示をいただき淀川製鋼所が作成したものです。

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