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国指定重要文化財
フランク・ロイド・ライト設計
日本大学 理工学部 建築学科
今号では、日本大学 理工学部 建築学科の皆様をご紹介します。同大学では毎年「関西建築研修旅行」を実施。学部1年生から大学院生までを含む混合編成で、40名にも及ぶ学生の方が参加。ヨドコウ迎賓館をはじめ、さまざまな時代の建築を見学されています。そこで、ツアーの企画・指導に携わっていらっしゃる大川先生にお話をお伺いすると共に、学生お二人に体験談を語っていただきました。
「関西建築研修旅行」でヨドコウ迎賓館に来館された皆様
(玄関車寄せ前で撮影)

ヨドコウ迎賓館の魅力と建築史的価値
大川 三雄 先生
日本大学 理工学部 建築学科
(専任講師 工学博士)

ヨドコウ迎賓館は、学生に人気の高い建築空間

『法隆寺』(奈良)での
研修風景
建築教育の現場にあって、私達が何よりも重要視しているのが建築見学である。建築を目指す学生には、できるだけ早い時期に、優れた建築との出会いを体験して欲しいという考えから、日本大学理工学部 建築学科では、40年以上にわたり「関西建築研修旅行」を行なってきた。4泊5日ほどの日程で、奈良・京都・神戸・大阪の4都市を駆け巡り、『法隆寺』から現代建築までを見て回る。
研修終了後はいつも、参加した学生にアンケートを実施するが、常に上位の人気を誇っているのが『ヨドコウ迎賓館』である。まさに「ライト・マジック」とも評すべき不思議空間が展開し、歩き回りながら胸の高まりを一度経験してしまうと、ライト建築の魅力にとりつかれることになる。
建築史という流れの中におけるライト建築の特徴
例年、学生達が『ヨドコウ迎賓館』を一通り味わい終わった頃を見計らい、ライト建築の建築史的意義について次のような解説を加えるようにしている。
古代ギリシャやローマといった過去の建築を模範としたものを歴史主義建築と言うが、この潮流は15世紀に始まり、19世紀の欧米において最後の輝きの時を迎えていた。明治期の日本が最初に採り入れたのも、歴史主義建築であった。しかし、『東宮御所・赤坂離宮』(現・迎賓館)が完成した明治42年(1909年)頃になると、歴史主義修得の第一段階を終えたとの認識が高まり、一方でアール・ヌーボーなどの新しい造型運動も徐々に紹介され始めていた。
歴史主義とは異なった新しい建築の探求、その先陣を走っていたのがフランク・ロイド・ライトである。ライト建築の最大の特徴は、「箱型」の建築を解体した点にある。積石造の伝統から、個々の部屋も建物全体も重厚な壁によって仕切られていた「箱型」建築を解体し、部屋から部屋、室内から室外へと連続的に展開する建築空間を提示した。このような特性から、その建築空間は「流動的空間」と呼ばれ、体験した者は音楽にも似たリズムやハーモニーを感じ取るようになる。
日本で最初の建築家の一人である曾禰達蔵氏は、大正12年、竣工したばかりの『帝国ホテル』を見て空間の妙に打たれ、ライトのことを「立体美術建築家」と評している。いまだ「空間」という概念のなかった日本にあって、なかなか味わい深い表現である。ライトの存在自体は、京大建築の生みの親 武田五一氏によって早くから紹介されていたが、本や雑誌というメディアだけでは、どこまでその魅力が理解されていたかは疑わしい。『自由学園』(1922年)・『帝国ホテル』(1923年)、さらには『山邑邸』(現・ヨドコウ迎賓館/1924年)の完成によって初めて、日本人はライト建築のもつ空間的魅力を実体験することができた。そして、建築の魅力が「様式」や「装飾」にではなく、「空間」にあることに気付かされたのである。


何度訪れても飽きることのない魅力の深さを実感

川崎 宇希子さん
大学院1年 建築史専攻
すでに四度、ヨドコウ迎賓館を訪れました。一度目はただその空間構成に驚き、ニ度目は造り付け家具に興味をもちました。三度目はドアや棚の金具に注目し、四度目はライト独特の文様を楽しみつつ見学しました。来館するたびに新たな発見があり、飽きることのない魅力の深さを感じています。それはきっと、細部にまでとことんこだわって造られているからではないでしょうか。
『法隆寺』などを連想させるライト建築の面白さ

平野 貴紀さん
大学院1年 建築構造学専攻
この建物には、日本の伝統的建築を連想させる空間構成や構造が随所にあります。例えば『法隆寺』などで用いられている天秤式構造を、応接室の庇に見ることができます。壁を支点として外に大きく張り出し、内部を短くして、その上に屋根の荷重を載せて釣り合いをとっています。こうした複雑な姿を単純な原理で造り上げているところが、ライトらしくてとても面白いと思っています。


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