「プロフィール」
   三重大学大学院 工学研究科 准教授
  富岡 義人
(とみおか よしと)
先生

 

 建築造形を通して建築家の個性を明らかにする研究を行う。趣味は電子楽器の設計・製作・演奏と雑文書き。
  ゼミの学生たちは、「テルミン」の超・前衛的な音色に耳を傾け、毒と薬の混淆した文章に目を見張る。
 

1963年 金沢生まれ
1986年 東京大学工学部建築学科卒業
1986〜1991年 東京大学大学院及び香山アトリエで学ぶ 
1991年 東京大学工学部助手
1994年 工学博士、三重大学工学部専任講師
1997年

ペンシルバニア大学美術大学院客員研究員、
三重大学工学部助教授

2002年 建築デザイン研究所を共同で津市に設立
現在 三重大学大学院工学研究科准教授

「研究概要」

 私の専門は、建築意匠学、とくに建築形態論です。建築家が形をどのように捉え、どのように操って建築作品をつくりあげるのか、この営みの実際の姿を観察し、そこから建築造形の特徴や建築家の個性を明らかにすることが仕事です。

  建築には様々なスタイル(様式)があります。用途の異なる建物であっても、スタイルが互いに似かよっていると感ぜられることもあるでしょう。これは、それらの作品が、なにかしら造形上の原理を共有しているためです。それは、いわば時代の刻印であり、同時にその建築家の刻印でもあります。
 
  ライトの作品は、こうした特質を極めて強く持っています。ライトの作品を 3 つほど心ゆくまで味わえば、第 4 の作品をライトだと見抜くのは、一般の方々にとっても難しくはないでしょう。ちょうど、ドビュッシーの作品がドビュッシーらしく聴こえるように、ライトの作品はいかにもライトらしいオーラをまとっており、私たちはそれを直感的に把握します。

  しかし、このオーラは、建築の形のどこに潜んでおり、どのように私たちの知覚を刺激するのでしょうか。これを読み解くのは、さほど簡単なことではありません。ドビュッシーらしさの背後には、様々な独自の作曲技法があります。これと同様に、ライトの作品でも、醸し出されるオーラの背後に多彩な技法が隠されており、重なりあい、綾なしているのです。

  この連載を通じて、ライトの建築の特質をなすデザイン上の技法を具体的に取り上げて、皆さんにご説明いたします。ライトが建築空間の造形をどのように捉え、どのように操っていたのか、そのデザインの実相へと向かう扉を開けられれば、と思います。


著書:「フランク・ロイド・ライト:大地に芽ばえた建築」(丸善)など
翻訳書:「ルイス・カーン:光と空間」、「ライト=マンフォード往復書簡集1926-1959」(以上、鹿島出版会)など



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